EA(自動売買)をMT4などの取引プラットフォームで動かす方法として、自分のPCを使うよりもVPSがおすすめであることについて解説します。
どうも、中山唯人です。
自動売買ツールのEAに初めて興味を持った人がつまづきがちなのが、EAを稼働させること。
EAはプログラムですので、動作するためには稼働しておく必要があります。
いくら自動で取引してくれるといっても、常に稼働している状態にしないことには取引や決済をしてくれません。
東京市場の営業時間だけ取引したいという人は別ですが、基本的にEAは24時間稼働させることが大前提。
EAを24時間動かすための方法としては
- VPSを契約する
- 自分のPCを使う
の2つがありますが、この記事ではこの2つの方法のメリット・デメリットと、VPSの方がおすすめであることの理由、VPSを利用するための手順について説明します。
EA(自動売買)をMT4で動かす方法:VPS(おすすめ)と自宅PC
EA(自動売買)を動かすプラットフォームとして有名なのがMT4(MetaTrader 4)です。
MT4は外国為替市場での取引に広く使用されている人気のあるトレーディングプラットフォームで、多くの海外FX業者がMT4を使っています。
さて、(MT4に限らずですが)EAを動かすための方法として、私がおすすめしているVPSと自宅PCについてそれぞれ概説します。
EA(自動売買)をMT4で動かす方法:VPS
VPSとは、Virtual Private Server(バーチャルプライベートサーバー)の略で、日本語では仮想専用サーバーのことを指します。
しかし、この説明だけ聞いてもなかなかピンとこないと思います。
もっと簡単に言うと、VPSとは企業が持っている大きなサーバーの中に、仮想の自分専用PCを作って稼働させることです。
イメージとしては、外部のサーバー本体が別の場所にあり、それを自分のパソコンやスマホから遠隔操作する感じです。
手順は
- VPSを提供しているプロバイダーと契約する(CPUやメモリ容量などの条件によって価格は異なります)
- 契約したVPSの仮想PCのデスクトップにリモートで接続する
- 仮想PCにMT4をインストールし、EAを動かす
という流れです。
VPSの利用料として毎月数千円程度のランニングコストが必要になりますが、VPSは物理的なサーバーと同様に機能するため、パソコンの電源を切っていてもEAを実行し続けることができます。
EA(自動売買)をMT4で動かす方法:自宅PC
名前の通り、自宅のPCを利用します。
24時間体制でMT4を起動し、EAを稼働した状態にしておきます。
EAのプログラムはそれほど重くありませんので、一昔前の低スペックのパソコンでも十分動かせられます。
自分が持っているリソース(資源)を使うため、VPSを契約する必要はなく、環境設定の自由度も高いという特徴があります。
EA(自動売買)をMT4で動かす方法としてVPSがおすすめの理由
EA(自動売買)をMT4で動かす方法として、自宅PCではなくVPSがおすすめの理由を説明します。
これまでの解説を見ると、
と思われるかもしれませんが、自宅PCを持っている人にとってもVPSの方がおすすめ。
なぜなら、VPSの方が安定して24時間稼働させられるからです。
以下、詳しく説明しますね。
安定性が高い
自宅PCで動かす場合と比較して、VPSを利用すると安定した稼働が可能です。
自宅のパソコンは、電源やネットワークの不具合など、予期せぬトラブルによって稼働が停止してしまうことがあります。
しかし、VPSは専用のサーバーを利用するため、電源やネットワークの安定性が高く、24時間365日安定して稼働させることができます。
これにより、EAの取引が中断することなく、トレードを継続することができます。
インターネット回線も高速
また、VPSを利用することで、高速かつ安定したインターネット環境が確保されます。
自宅のパソコンでは、他の家族がインターネットを利用することでネットワーク速度が低下したり、通信エラーが発生することがあります。
しかし、VPSは高速なデータ回線を利用するため、インターネット環境による影響を受けずにスムーズなトレードが可能です。
これにより、注文の実行やチャートの解析など、高速なトレードが行えます。
セキュリティが高い
さらに、VPSを利用することで、セキュリティの面でも安心です。
自宅のパソコンでは、ウイルスやマルウェアに感染する可能性があります。
しかし、VPSはセキュリティ対策が厳重になされており、専門のエンジニアがセキュリティを常に監視しています。
そのため、EAのプログラムや取引情報が外部に漏れる心配はありません。
EAを24時間稼働し続けることが最優先事項
これまでVPSの方が良い理由を3点簡単に説明しましたが、共通しているのは、
VPSの方が安定してEAを24時間稼働できる
という点にあります。
いずれのメリットも、EAが24時間取引相場を監視し、トレードや決済の機会を逃さないために非常に大事なことです。
EAを利用する上で気を付けるべきことは他にもいくつかありますが、「24時間稼働し続けるようにすること」はEAを利用する上での大前提。
なぜなら、EAを稼働させないことにはトレードも決済もできないからです。
どんなに良いロジックを持っていたとしても、リスク管理対策の機能が組み込まれていたとしても、動かさないことには何もできません。
万が一、故障や事故で自宅PCからのインターネット接続が途切れている間に相場の急変が起きてしまうと、対応のしようがなくなります。
だからこそ、たとえ自宅PCを持っていたとしても、コストをかけてでも安定して24時間EAを稼働できる環境にすることが大事なのです。
EA(自動売買)をMT4で動かすためのVPSと自宅PCの費用はあまり変わらない?
EA(自動売買)をMT4で動かすためのVPS(おすすめ)と自宅PCの維持費について、単純に考えたら月額利用料が発生しない自宅PCの方が安く思えますが、総合的に考えると実はそれほど変わらなかったりしますw
まず、VPSの月額料金についてですが、EA用のVPSとして定番のABLENETの場合、月額3,090円で利用できます。(2023年12月時点)
年額ベースで計算すると、割引が効いて2,513円です。
それに対して、自宅PCでMT4を稼働させた場合のコストを考えてみましょう。
確かに自宅PCでは月額利用料がかかりません。
しかし、PCは永遠に使えるものではなく、寿命がありますので、定期的に買い替える必要がでてきます。
パソコンの購入代金に平均5年と言われるパソコンの寿命の月数を割ると、実質的な月額を概算することができます。
パソコンの実質的なランニングコストの概算
パソコンの値段はピンキリですが、WordやExcelなどのMicrosoft Officeを搭載している標準的なスペックの新品パソコンは、10万円前後が相場。(日系メーカーだともっとします)
仮に96,000円で購入して5年間利用したとすると、96,000円÷60(ヵ月)= 1,600円/月かかるという計算です。
それに加えてランニングコストでかかってくるのが電気代。
一般的なデスクトップパソコンで24時間稼働させた場合の電気代は1日30円程度、1ヵ月で約900円です。
つまり、PCの購入費用と電気代を足すと1ヵ月換算2,500円程度かかることになり、VPSを利用した時と自分のパソコンを稼働させたときのランニングコストはほぼ同じになるのです。
また、自宅PCを24時間稼働させるとハードウェアの消耗も激しくなります。
そうすると1日5~6時間程度の稼働に比べて劣化の速度がかなり速くなり、買い替えないといけなくなるサイクルも早まります。
他方、VPSを利用する場合はプロバイダーがメンテナンスしてくれるため、壊れて使えなくなる心配や買い替えの費用は必要ありません。
総合して考えると、VPSと自宅PCのランニングコストは、実質的には大きく変わらないといえるでしょう。
それに対して、端末や回線の影響でEAが動かなくなってしまうリスクの低さは、圧倒的にVPSに分があります。
このことからも、EAをMT4などのプラットフォームで動かすための手段としては自宅PCよりもVPSの方が断然おすすめです。
EA(自動売買)をMT4で動かすためにおすすめなVPSの利用手順
EA(自動売買)をMT4で動かすためのVPSの利用手順は、以下の通りです。
- VPSプロバイダーを探す
- 契約手続きを行う
- 接続情報を入手する
- MT4にVPSを設定する
- MT4を再起動する
1.VPSプロバイダーを探す
まずは、信頼性の高いVPSプロバイダーを探しましょう。
多くのプロバイダーがありますので、価格、速度、セキュリティなどを比較検討して選びましょう。
また、MT4に対応しているかどうかも確認してください。
2.契約手続きを行う
選んだVPSプロバイダーのウェブサイトにアクセスし、契約手続きを行います。
必要な情報(ユーザー名、パスワード、支払い方法など)を入力し、契約を完了させます。
3.接続情報を入手する
契約が完了したら、VPSの接続情報を入手します。
通常、ユーザー名、パスワード、IPアドレス、リモートデスクトップ(RDP)ポート番号などの情報が含まれています。
これらの情報は、後ほどMT4に設定する際に必要となります。
4.MT4にVPSを設定する
MT4を起動し、メニューの「ツール」→「オプション」をクリックします。
表示されたオプションウィンドウで「コモン」タブを選択し、「リモートデスクトップ(RDP)」をクリックします。
その後、入手したVPSの接続情報を入力し、「OK」をクリックします。
5.MT4を再起動する
設定が完了したら、MT4を再起動させましょう。
これにより、VPSに接続され、EAが常に動作する状態になります。
VPS上でMT4を起動した状態であれば、自宅のパソコンを起動している必要はありません。
以上の手順でVPSを利用することで、より効率的かつ安定したEAによる自動売買が可能です。
適切なVPSプロバイダーを選び、手順に従って設定を行いましょう。(VPSのおすすめのプロバイダーや契約手順については、後日別の記事で取り上げる予定です)
ここまで読んでいただきありがとうございました。